計算コードの概要と実習内容 (Reference Material)

※各コードがどのコースでの実習となるかはその回によって異なります。(各コースのプログラムでご確認ください)
Each code does not always show the same course exercise. (Please confirm the contents in the program of each course!)

※コード名をクリックするとそのコードのHPにリンクします。
When you click the code name, its HP appears.
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計算コード 概要 実習内容
(M)MACHIKANEYAMA2002 規則系、不規則系、不純物系、部分不規則系、不規則磁気モーメント系などの電子状態をグリーン関数法(KKR法)によって計算するためのパッケージです。

The package, which features both high speed and high accuracy, uses the KKR-Green’s function method. This is an all-electron method and does not suffer from any serious truncation errors such as those associated with plane-wave cutoffs. Moreover, the CPA (coherent potential approximation) is integrated into the package making it applicable not only to crystals but also to disordered systems such as impurity systems, random substitutional alloys and mixed crystals. Since the Green’s function of the system is calculated, the package provides a good starting point for first-principles calculations of linear response theory, many-body effects, and so on.
入力の作り方を実習した後、鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属の電子状態を計算します。次にこのような強磁性金属の不規則局所磁気モーメント状態 (スピングラスのように、各位置には局所磁気モーメントがあるが、その向きはランダムになっている)の電子状態を計算します。
これらの結果から、良く定義された局所磁気モーメントを持つ鉄と、そのような局所磁気モーメントを持てないニッケルの違いを実感します。
また、これらの計算から強磁性転移温度を見積もって実験値との比較を行ないます。
さらに、典型的な不規則合金としてニッケル・鉄合金の電子状態を計算し、インバー領域で磁気秩序の不安定化が起きることをみます。
アドバンストコースでは上記に加えて簡単なマテリアルデザインを実施します。
(N)NANIWA-Series 量子ダイナミクス計算のコード体系です。

NANIWA series is a computational code for performing first principles quantum dynamics calculations.
金属表面における水素分子の解離吸着反応をシミュレートします。
金属表面としては、活性化障壁のある銅表面および、障壁の無いパラジウムを取り上げ、それぞれの反応過程の特色を理解していただきます。
同位体効果の確認、受講生各自が製作した任意のポテンシャルにおける反応確率の計算へ進みます。
時間があれば、更に分子振動を考慮した金属表面での水素分子の解離吸着反応、会合脱離反応、表面散乱等を取り扱います。
対象表面は、銅、パラジュウム、白金等を予定しています。
(A)ABCAP 密度汎関数理論の局所密度近似(LDA)の範囲で結晶の電子状態計算を行う全電子フルポテンシャルAPW法の第一原理計算プログラムです。

All Electron Band Structure Calculation Package(ABCAP) provides Full-potential Linearized Augmented Plane Wave (FLAPW) calculation.
Beginner Course: 単体および簡単な化合物のバンド構造と部分状態密度を計算し、結晶の波動関数がどのような原子波動関数から構成されているか、学習します。
Advanced Course: 遷移金属酸化物の電子状態の計算し、磁気構造によってバンド構造がどのように変わるか、また、Jahn-Teller歪みによってバンド構造がどのように変わるか、などを学習します。
Bloch-Boltzmann理論に基づく熱起電力の計算や、バンド間遷移による光吸収の計算を適宜選択して行います。
LDAとLDA+Uの結果を比べ、+Uの効果を確かめます。
(H)HiLAPW2002 局所密度近似の範囲での密度汎関数理論に基づき、全電子フルポテンシャル線形補強平面波(All-electron Full-potential Linear Augmented Plane Wave)法により第一原理電子状態計算を実現するためのプログラムです。

Hiroshima Linear-Augmented-Plane-Wave (HiLAPW) program package described here is designed to perform band-structure calculations based on the density functional theory (DFT).
基礎コースでは、典型的な単元素結晶系(Cu、Si、Fe等)を題材として、入力データの準備、セルフコンシステントな計算の実行、状態密度及びバンド構造の図形出力までを学修します。時間に余裕があれば、簡単な化合物系への発展も行います。
専門コースでは、以上に加えて、バンド構造からボルツマン理論に基づきフェルミ速度やホール係数等の計算を行い輸送現象の議論を進めます。
(S)STATE-Senri 密度汎関数法に基づくウルトラソフト擬ポテンシャルを用いた第一原理分子動力学法プログラムパッケージです。

STATE(Simulation Tool for Atom TEchnology) is a first-principles calculation software package based on DFT using a plane wave basis set and ultrasoft pseudopotentials.
Beginner course:シリコン、アルミ、銅、等の単体の固体の計算を行い、状態密度構造を描きます。時間があれば水素分子やエチレン等、小分子の構造最適化、基準振動解析等を行います。
Advanced course:、金属表面上の原子の吸着構造を求め、さらに、基準振動解析を行い、振動スペクトルを計算することを行います。また、原子の拡散過程をシミュレートし、拡散の活性化エネルギーを求めることを行います。
(E)ES-Opt 擬ポテンシャル法を用いた平面波基底展開による電子状態計算プログラムです。

ES-OPT is a first-principles calculation software package based on DFT using a plane wave basis set and norm-conserving psedopotentials. This program codes in fortran90 is written so as to be easily readable tractable source codes. The ES-OPT package is used as a base to realize techniques including
1) meta-dynamics simulations,
2) multi-reference DFT calculations.
Beginner Course: Siなどの簡単な系を用いて、電子状態計算の流れを理解し、入出力の扱い方を学んだのちに、プログラムを実際に動かして、そのソースコードを参照しながら学びます。全エネルギー、原子間力などを求め、簡単なバンド図の描画を行います。
Advanced Course: 以下のテーマのうちから受講生の興味によって題材を選択し、分子動力学シミュレーションを通して現象の解析方法を学びます。
1)シリコン高圧相の圧力誘起相転移
2)炭素高圧相の圧力誘起相転移
3)シリコン中の不純物拡散
4)その他参加者の興味に従った電子状態計算に関するテーマ
(R)RSPACE 実空間差分法を用いて表面・界面のナノ構造の電子状態を密度汎関数法の局所密度近似の枠内で第一原理的に計算し、またそれに基づいて分子動力学を行うコードです。

RSPACE is a first-principles calculation software package based on DFT using a Real-Space Finite-Difference Method.
Beginner Course: テキストにそって分子やバルクなどの簡単な系の電子状態を計算し、入出力の扱い方などプログラムの基本を理解する。全エネルギー、原子間力を計算し、平衡原子間距離や格子定数などを求める。
Advanced Course: Beginnerコースの簡単な復習の後、以下のテーマのうちから受講生の興味によって題材を選択する。
1)並列計算機を用いた半導体表・ハ・界面、カーボンナノチューブ、フラーレン等の原子・電子構造計算
2)輸送特性計算コードの実習とナノ構造の輸送特性計算
3)その他
(EJ)ecalj L(APW+MTO)法(=PMT法)という混合augmented基底の方法を基本としたパッケージです。構造緩和など一通りのことはできますが、特に、最新の方法であるQuasiparticle self-cosnsitent GW法(QSGW法)を実行し、準粒子を正確に計算できる点に特徴があります。検索してみてください。githubのhttps://github.com/tkotani/ecaljで公開しています。

The ecalj is an first-principles electronic structure calculations package in the DFT and GW. It has some unique features. Especially, we can perform the quasiparticle self-consistent GW (QSGW) [1] calculations based on the PMT method (=the Linearized APW+MTO method). We name this the PMTQSGW. Introduction to PMT-QSGW is given in Sec.1.1. The ecalj web site is at https://github.com/tkotani/ecalj
簡単に、augment法について説明します。形式論の上では、多くの部分はPAW法とも共通です。そのあとLDA/GGAの限界、QSGW法のご利益、準粒子の意味などについても説明します。
次にインストールとインストールチェックの仕方も説明します(githubのREADMEを読めば自分でもできるはずです。 まずは、無料かつ容易であるのでubuntu12.04をノートにでも入れてテストすることを推奨します)。
そして、構造を与えて、バンドやDOSなどを書くこと、出力の意味を読み取ることを行います(構造としてはVASPのPOSCARも変換できます)。
LDA/GGAだけでなくQSGW法においても比較的容易に実行できるように工夫してありますし、組み込みのサンプルも増やしていってます。ただ現状ではQSGW法は重くて10原子程度が扱える原子数の目安です。
誘電関数やスピン揺らぎの計算などはリクエスト次第で説明できます。
(SA)SALMON SALMONは、多様な光と物質の相互作用で起こるナノスケールの電子ダイナミクスに対して非経験的量子力学計算を行う計算プログラムです。 計算は時間依存密度汎関数理論に基づいており、ノルム保存擬ポテンシャルを含む時間依存コーンシャム方程式を実時間・実空間で解きます。SALMONは、孤立系(分子やナノ構造)と周期系(固体結晶)の両方の系における電子ダイナミクスを記述できます

SALMON is a program for ab-initio quantum-mechanical calculations of electron dynamics at the nanoscale that takes place in various situations of light-matter interactions. It is based on time-dependent density functional theory, solving time-dependent Kohn-Sham equation in real time and real space with norm-conserving pseudopotentials. SALMON describes electron dynamics in both isolated (molecules and nanostructures) and periodic (crystalline solids) systems.
実習内容 はじめに、時間依存密度汎関数理論に基づき、どのようにして物質の光応答を調べるのかについて学びます。
その後、SALMONで可能となる光応答計算の実習を行います。弱い瞬間的な外場を用いると、線形応答:分子の分極率や固体結晶の誘電関数、を計算することができます。
パルス電場を用いると、高強度超短レーザーパルスにより誘起される物質中の電子ダイナミクスを記述することができることができます。これらの計算を、簡単な分子(アセチレン分子など)と、簡単な誘電体(シリコン結晶など)を対象に計算します。受講生の興味に応じて、より高度なシミュレーションを試みることもできます。

You first learn how to investigate optical responses of matters based on time-dependent density functional theory, and then conduct practical training on optical response calculations using SALMON. Employing impulsive external fields, one can calculate polarizabilities of molecules and dielectric functions of solids. Employing pulsed electric fields, one can describe electron dynamics in matters under laser pulse irradiation. These calculations will be carried out for simple molecules (eg. acetylene) and solids (eg. silicon). Advanced simulations may be conducted depending on your interests.
(F)FPSEID21 時間依存密度汎関数理論を用いて励起状態の分子動力学を行います。平面波基底を用いた通常の第一原理分子動力学と同じような入力データ作成により、周期系におけるレーザー励起後の分動力学計算を実行します。

This code performs ab-initio molecular dynamics (MD) within the time-dependent density functional theory. By preparing the input data which is similar to those for conventional plane-wave ab initio MD code, this code performs laser-induced MD in periodic systems.
実習内容 時間依存密度汎関数理論による励起状態分子動力学の基本概念を簡単に講義したのち、いくつかの構造モデルにてレーザー照射後の分子動力学を経験してもらいます。まず、物質の構造データから通常のバンド計算を実行して、レーザー照射分子動力学計算を開始するため初期状態を準備してもらいます。(構造モデルの入力データは例題として準備しておきますが、その内容を簡単に説明します。)次にレーザー波形を様々に変えて、物質がどのような構造変化を起こすかをシリコンやカーボン材料などで体験してもらいます。

After a short lecture for concept of excited state dynamics based on the time-dependent density functional theory, you will experience the molecular dynamics (MD) simulation upon laser irradiation. Firstly, the initial condition of the excited state MD will be prepared by performing the conventional band-structure calculation using the structure data of materials. (The input data for material structure will be provided, and the contents of input data will be explained.) Then, dynamics of silicon- and carbon- based materials will be tested under laser illumination with several laser patterns.